不登校における父親の大切な役割とは?子育てを任せきりにしている方へ

父親

不登校にお悩みのお父様、こんな思いはありませんか?

  • 「子供の不登校問題に対して、父親ができることとは?」
  • 「腹を割って子供と話すために、どう心がけたらいい?」
  • 「夫婦関係が悪いと、子供にも影響するって本当?」

毎朝、子供が学校に行くことが当たり前だったのに・・・。

当たり前の日常が変わってしまった今、父親にできることは何だろう―。

さまざまな事情から不登校になっているお子様とそのご家族の多くが、辛いお気持ちを抱えて日々を過ごしていることと思います。

そして、不登校という問題を解決するために、そもそも不登校は誰の(何の)せいで起こり、どうしたら解決できるんだろう?という答えを探し、森の中をあてもなくさまよっている状態かもしれません。

なかでもお父様は、子供の父親であり、また一家の主としての責任感から、この不登校問題をご自分の説得でなんとかしなければと思ったり、時には「お父さんも何とか言ってよ!」そう奥様から厳しい声をかけられることもあるかと思います。

そこで今回は、お子様の不登校に悩むお父様あてに、【不登校と父親の役割】といったテーマで詳しくみていきたいと思います。

 不登校と父親

心のサポーター事務所へ相談にいらっしゃる不登校のお子さんを持つ親御さんは、実は圧倒的にお母さんが多いです。両親揃って相談にいらっしゃるケースは非常に少なく、父親だけで訪れる人もほとんどいらっしゃいません。

相談にいらしたお母さんの中には、父親に内緒で来たという方もいらっしゃいます。「子供の不登校は、母親である自分の責任なんじゃないか・・・」と一人でご自分を責めていたり、お母様自身も、悩みや不眠など心と身体の不調を抱えていたりするようです。

不登校にお悩みのご家庭の中には、残念なことに、お子さんの様子をご夫婦で相談しあう機会がなかったり、相談しあうような良好な夫婦関係が築けていないという人も多いように思います。

最近、ご夫婦でじっくり会話される時間はありますか?

例えば、お父様が忙しくて家を空けることが多い家庭。残業や休日出勤などが多かったり、単身赴任であったり。仕事第一で頑張ってこられたお父様には、大変気の毒なお話なのですが、不登校がご本人や、母親だけのせいということはほぼない、と言い切れます。なので、お父様にはまずは今の状況に関心を持っていただきたいのです。

不登校は甘え?

ご自身が仕事で日頃から大変な思いをしているお父様から見ると、お子さんの不登校という現状を「甘えている」、「我慢が足りない」、「怠けているだけだ」そう見えることも多いようです。しかし、本当にそうでしょうか?

たとえ小学生であっても、お子さんは、学校へ行かなければいけないということは分かっています。まして、中学生になれば、休み続けたら勉強についていけなくなる、高校受験はどうしよう、そんなことももちろん理解しています。高校生なら、出席日数が足りなければ留年するし、高校を卒業できなければ就職にも苦労する・・・そんな現実も、頭にないわけではないのです。

それでも、行けない。

ですから、お子さんの中に、「行きたくても行けない理由があるんだ」ということをまずは受け入れていただきたいのです。特に男の子の父親は、どうしても同性として、将来への心配や焦りが出てきます。いままでせっかく期待をかけてきたのに、不登校になったことですべてが裏切られたような気持ちになっている方もいるかもしれません。自分の子供が不登校だ、ということ自体が受け入れられない気持ちもあると思います。

ですが、父親がお子さんの不登校を受け入れられるようになると、お子さんにいい変化が起こることが多いことは事実です。まずはぜひ、お子さんを認めてあげてください。

奥様を責めていませんか?

怠けている、甘えているとお子さんを責めるだけではなく、心のどこかで「不登校になったのはいつもそばにいる母親の責任なのでは?」という思いはありませんか。その想い、もう本人には痛いほど伝わっていると思います。

相談に訪れるお母様の多くがご自分を責めています。「あの時、ああ言ったのがいけなかったのかしら?」「どこで間違えたの?」「もっとああしておけば・・・」と、過ぎた日のことを悔いて、とても胸を痛めています。

奥様を責めるお気持ちが、つい言葉や態度となって出ていませんか?日々ストレスを抱えながらも忙しい仕事を必死でこなし、やっとの思いで終わらせて家に帰れば、今度は暗い顔をしたご家族。心休まるはずの家庭が上手くいっていないことで、いらだちを募らせてしまうのは分かります。でも、それが表面化してしまっているのは問題です。

もちろん夫婦関係の悪化についても、夫婦のどちらか一方だけのせい、ということはありえません。奥様自身も、子供の不登校にイライラしたり、思い悩むあまり体調が優れなかったり、更年期障害や持病などで別の辛さを抱えていたり、家事や仕事・パートなどのストレスや疲れの蓄積から、いつのまにかきつい口調になっているのかもしれません。でも、どちらが悪い、というのをお互いが一方的に責めているうちは、問題は解決しません。

売り言葉に買い言葉、になっていませんか?

悪い喧嘩と、良い喧嘩

一見夫婦仲が良さそうに見えても、実際はどちらかが我慢をしているということも大いにありえます。

「何十年も夫婦生活をしているけれど、怒るから下手なことは言えない」という人がいます。喧嘩することがないので世間的にはうまくいっているように見えますが、実際は言いたいことを言い合っていない状態。相手のことを「こういう人だ」と勝手にイメージをしながら生活をしていることになります。ですから、当然すれ違いも生まれてくるのです。

良い喧嘩は、お互いを分かりあうためにする喧嘩。

悪い喧嘩は、自分の思いを押し通そうとする喧嘩。

あなたの家庭では、どちらの喧嘩がありますか?

そして、何もない・・・というのもまた、危険信号かもしれません。

無関心は、時として凶器になる

忙しいお父様に共通していることがあります。それは、お子さんの話や奥様の話をあまり聴いていないということです。「今日こんなことがあった」という話を聞いて、それがすべてだと思っていませんか?これは実際にあった出来事であり、事実を述べているだけなのです。

聞くというのには、実は3段階あります

  1. 事柄を聞く
  2. 気持ちを聞く
  3. 真意を聞く

という3段階です。

例えば、

  • 「今日は一日中家にいた」と言ったとします。
  • その時の気持ちは、「寒かったから家にいたけど、つまらなくて本当は嫌だった」
  • そして、その真意は「新しいコートを買いに、一緒に買い物に行きたい」

いかがですか?言っていることと、心の中で思っていることはこんなに違いがあるのです。それを、①の「今日は一日中家にいた」という言葉だけを聞いて、

「また家でゴロゴロしてたのか」「いい身分だな」「怠けてばかりで・・・」

そう思っていませんか?①の事実だけを聞いているうちは、本当に聞いていることにはなりません。そして、その思いを相手にそのままぶつけてしまうことで、相手を傷つけてしまいます。

冷たい言葉はまさに、ナイフ。投げられた方はもう二度とこんな思いはしたくないと、口を閉ざし、心を閉ざします。会話をすること自体が嫌になったり、「これは言わないほうがいいかな」と先回りして考えるようになります。それが悪循環になり、どんどん心の距離が離れ、関係が悪化していってしまうのです。

もしこれが、相手が重要なクライアントだったら、初恋の人だったら・・・・

「あの人が本当に求めていることは何だろう?」「どうしてこう言ったんだろう」

そうやって相手の一挙手一投足に興味を持ち、あれこれ質問をしたり、なんとか気持ちやその裏に隠された真意を聞き出そうとしませんか?

相手の真意を聞くことで、会話のキャッチボールが正しい方向に向かいます。

ぜひ心がけていただけたらと思います。

夫婦関係が不登校に与える影響とは?

正直に申し上げますと、夫婦の仲がとてもいいのに、お子さんが不登校になるケースはあまりありません。

お子さんの不登校に悩むご家庭では、何年も前から夫婦間の会話があまりない、ということもありますし、会話はあっても喧嘩ばかりというケースもあります。また、一緒に住んでいなかったり、住んでいても朝早く出勤し、夜遅く帰ってくる。出張が多くなかなか顔が合わせられないということも。何らかのきっかけで、夫婦の心の距離が離れ、考えを共有できていない家庭が多いようです。

もちろん、単身赴任や親の介護など、理由があって別居をしている家でも夫婦関係が上手く行っている家庭もたくさんあります。そういった家は、コミュニケーションをしっかりとっていて、離れていても夫婦の心や考えが一体になっています。

では、なぜ夫婦関係が悪いと、子供にも悪い影響が出てしまうのでしょうか?

夫婦の気持ちが違っていると、子供は素直になることができません。なぜなら、家庭の中に答えがふたつあることになるからです。

お母さんの気持ちや考え方が正しいのなら、お父さんが間違っている。反対に、お父さんが正しいのならば、お母さんが間違っている。

夫婦の心と考えがバラバラな時、子供から見るとこんな状態なのです。

答えが1つであれば、素直に「そうなんだ」と思い、信頼することができます。でも、2つの答えがあると反抗心が生まれてきます。ですから、夫婦の心と考えが一体でないというのは、子供にとっても非常に不安定で、危険な状態なのです。

また、特に今まで夫婦の問題が表面化したことはなかった家庭でも、同様のことが起きています。奥様が不登校について相談したいと思った時に、肝心の旦那様は仕事で忙しく聞く耳を持ってもらえなかった・・・など。子供の問題がきっかけで関係が悪化してしまうケースはよくあります。

そんな時、子供自身も「自分が不登校になったことで、両親の夫婦喧嘩が増えてしまった。悪いのは全部自分だ・・・」と、家庭の不和を自分の責任だと感じ、学校には行きたくないけれど、かと言って家にも居場所がない―と、さらに孤独感を強めている可能性があります。

世の中には、お父様も、お母様も、もちろんお子さん本人も頑張っていたんだけれど、ちょっとした歯車が狂ったことでうまくいかなくなってしまった。そんなことがよくあるのです。

だから、「不登校は○○のせい」と短絡的に考えたり、誰かを責めるのではなく、自分の心の奥底にある思いを見つめていってほしいのです。それこそが、根本的な解決に繋がる唯一の道だからです。

お子さんは、実は不登校になるもっとずっと前から、夫婦の関係をきちんと見ています。もし、父親の方では何の問題もないと思っていたとしても、一度奥様ときちんと話し合ってみることをお勧めします。

父親だからこそ、できること

例えば、山で遭難してしまった時、遭難した本人ができることというのは限られています。しかし、無事でいる他の人は下山して救助を求めることができます。警察や自衛隊、ボランティアの方に捜索活動を依頼した上で、山に詳しい方に相談して作戦を立て、迷い込んだ可能性のある場所を大人数で手分けして捜索することもできます。

ですから、この「不登校問題」についても、家族のなかで迷いの渦中にいる人ではなく、山全体を見渡すことができる人が舵取りをするべきだと思うのです。そして、それが父親の役目なのではないかと。

もちろん、お母様も本人ではありませんが、おなかを痛めて産んだ我が子の一大事ですから、なかなか平常心で事に当たるというのは難しいのではないでしょうか。時には感情的になってしまうこともあると思います。そんな時、もっとも冷静に問題の現状とその原因を分析して、解決に導くことができるであろう、父親の存在価値が大きくなってくるのです。

子育てを母親に任せきりにしてきた、という方へ

なにか悪気があったわけではなく、お父様が仕事に打ち込むうちに、自然の流れとして母親が中心となって子供のことを見ていた。そして、いつの間にか家庭のなかで、「父親」という存在の影が薄れてしまっていたーというのは、よくあることです。

でも、そんな方こそ、今が頑張り時です。もし、父親が心づくりに励み、もっと主体的に、真剣にこの不登校という問題に向き合うことが出来れば、大きな効果が上げられるようになります。

良くも悪くも、人は忘れる生き物です。そして、一度許せないと思ったことすら、いつの間にか許せたりするものです。今までの家庭との関わり方、お子様や奥様との関係の築き上げ方を反省したり、後悔することで歩みを止めるのではなく、「じゃあ今から何ができるか?」という、前向きな視点で誠実に耳を傾け、コミュニケーションを取ることから始めてみてはいかがでしょうか?

今こそ父親の出番です

今まで曖昧だった”父親の存在”を明確にしていきましょう。

だからと言って、それは決して「威厳を保て」と言っているわけではありません。

お子さんへの理解を示す、妻との関係を見直す、ということは、お子さんへ関心を向け、妻の気持ちに寄り添うということ。つまり、思いやりの心を持って誠実に対応することです。これは、心づくりの第一歩になります。

不登校の問題は時に複雑で、友人関係・先生との関係・勉強の遅れなど、さまざまな理由から「学校に行けない」状態になっているので、すぐには解決できないかもしれません。それでも、まず家庭内の環境に良い変化があると、お子さんにも必ず良い影響があります。ですから、ぜひお父さんも、心づくりに取り組んでいただきたいと思うのです。

 

 

→ますだせいじ 心のサポータ事務所のホームページはこちら